大切な人との関係性を一瞬で改善するための言葉掛けとは?
投稿日:2024年3月8日 / 最終更新日:2024年9月5日
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日本の離婚率は35%。
今や3組に1組が離婚する時代、「パートナーとの関係性」は人生の大きなテーマです。
あなたのパートナーとの関係性は、どうでしょうか。
多くの方が、何かしらの不満や衝突を抱えているのではないでしょうか?
パートナーとの関係性が改善されると、間違いなく人生は幸せになります。
本当の豊かさを手に入れることができ、自分のことをもっと大切にできるようになります。
より幸せな人生を送りたいと思われた方、今が、パートナーとの関係性を見直すチャンスです。
パートナーとの関係性を改善する方法とは?
パートナーと衝突しあう関係性から抜け出すための改善方法は、ズバリ、コミュニケーションです。
人間関係の問題のほとんどは、コミュニケーションで改善します。
相手に寄り添いつつ、あなたの気持ちを伝えてみましょう。
自分の気持ちを伝えるコミュニケーション方法は、2つあります。
『YOUメッセージ(ユー メッセージ)』と、『Iメッセージ(アイ メッセージ)』です。
例えば、
「この食器を運んでちょうだい」
これは『YOU メッセージ(ユー メッセージ)』になります。
相手にお願いしているようでもありますが、
「あなたはこれを運びなさい」という命令として聞こえる場合があります。
そして、主語があなた(YOU)になるので、相手はそのメッセージを受け取らずに断ることもできてしまいます。
一方、『Iメッセージ(アイ メッセージ)』で伝えた場合、
「この食器を運んでもらえると、私は他のことができて助かるし、早くご飯が食べられると嬉しいの」
『Iメッセージ』は私(I)を主語として自分の気持ちを伝えるので、相手はそれを事実として受け止めるしかありません。
相手はそれを受け止めた上で、次の行動をどうするのかを、相手が自ら決めることができます。
人は誰でも、コントロールされることや、何かを言われて動くのは嫌なものです。
相手の意思を尊重しながら、気持ちよく動いてもらうために『Iメッセージ』を使うと、とても上手くいきます。
効果的な『Iメッセージ(アイ メッセージ)』の使い方
『Iメッセージ』を効果的に使うためは、以下の4つの手順で進めます。
① 実際に起こった客観的な描写で相手の行動を伝える
② その行動が自分にもたらす、実際の、具体的な、実体的な影響力を伝える
③ 自分自身がその行動と、その影響について、どう感じているかを伝える
④ 相手の反応にラポールで対応する
例として、夫婦でオリンピックを見ているときに、
「最悪だ」
「何やってんだ!」
「これだから日本はダメなんだ」
と声を荒らげる旦那さんに対し、その様子をよく思っていない奥さんが
「ああ、もう、うるさい!」と言って、部屋を出てしまいました。
奥さんがそのときの気持ちを『Iメッセージ』で、旦那さんに伝えるとしましょう。
実際に起こった客観的な描写で相手の行動を伝える
「この前、オリンピックを見ながら、テレビに向かって叫んでいたでしょ。
私はそれを聞いて、頑張っている人にひどいことを言っているように感じてしまったの。
悲しくなって、私まで責められているように感じたの」
このとき、「あなたはオリンピックを見ながら文句を言っていた」など、主観的にものごとを言ってはいけません。
その行動が自分にもたらす、実際の、具体的な、実体的な影響力を伝える
「私、そのとき、うるさいって言ってしまって…私の態度であなたを不快にさせてしまったでしょ。
きっと結婚してからずっと同じことの繰り返しで、あなたを不快にさせてきたよね。
それでも、家族や私を支えてくれてありがとう」
自分自身がその行動と、その影響について、どう感じているかを伝える
ここまで伝えると、相手が何かしら返事をしてきます。
相手の反応にラポールで対応する
「ラポール」とは、日本でいうと信頼関係という意味になります。
コミュニケーションの大前提は、信頼関係を築くことです。
ラポールを築くためのテクニックとして、代表的なものとしては、以下のコミュニケーションテクニックがあります。
- ペーシング(相手の話し方や状態、呼吸などのペースを合わせる)
- ミラーリング(目の前にいる相手の姿勢に鏡のように合わせる)
- バックトラッキング(相手の言ったことを返す)
人は同類だと感じるものに親しみを感じるため、相手は安心感を抱き、話しやすい雰囲気を作ることができます。
また、以下の要素も取り入れます。
- 傾聴
- 自己重要感を満たす
これらのテクニックを用いることで、相手と早く信頼関係を築くことができます。
相手の自己重要感を満たすことができれば、一気に心を開いてくれるようになります。
パートナーを幸せにするのを止めているのは自分
でも、もし、あなたがこの事例の奥さんの立場だったら…
このような『Iメッセージ』を、旦那さんに掛けてあげられるでしょうか?
たとえ、旦那さんとの関係性を改善したいと思っていたとしても、おそらく、奥さんの本音は違うはずです。
コミュニケーション講座の受講生に、パートナーとの関係性を改善するための『Iメッセージ』を作ってもらいました。
小学1年生の息子さんがいる女性です。
彼女は土日に受けたい講座があり、旦那さんに
「土日にどうしても受けたい講座があるのだけど、受講していいかな?」と尋ねたそうです。
旦那さんからは
「受けたい講座があるんだったら、俺と息子がいない平日に受講すれば?」
「その間、俺と息子はどうすればいいわけ?」と言葉が返ってきました。
それを聞いた彼女は、旦那さんの言葉にガッカリしました。
「土日にしか開催してないから、相談してるんだよ!」
「あなたは子どもじゃないんだから、息子と2人で何とでもできるでしょ!」
「あなただって土日に自分の好きなことをしてるじゃない!」
そう思いつつも、それは言葉にせずに黙ったままその場を後にしました。
その後、彼女はその講座の受講を諦めきれず、
旦那さんが寝ている時間帯だけリアルタイムで受講し、残りは録画提供を受けることで対応したそうです。
そして、旦那さんにはあれ以降、一切相談や報告はしませんでした。
そんなエピソードから、彼女は『Iメッセージ』を作成してみました。
「この前、あなたに土日に受けたい講座があるのと私から話をしたでしょ?」
「そのときのあなたの言葉を聞いて、私のやりたいことをあなたは応援してくれないと感じて、悲しくなったの。
落ち込んでしまって、平日の開催がないこととか、詳細を伝える気持ちもなくなってしまった」
「私、いつも肝心なところは、あなたに話してこなかったことに気がついたの。
私は、あなたや息子と一緒に過ごせる時間をとても大切だと思っているけど、
きっと、あなたに誤解させるような振る舞いばかりだったよね。ごめんなさい。
こんな私と長年一緒に連れ添ってくれて、ありがとう」
彼女は『Iメッセージ』を作成することで、
旦那さんが「一緒に土日を過ごしたくて、寂しい気持ちがあったのだろうな」と気がついたそうです。
そして、一方で、こんな怒りがムクムクと沸き上がってきたそうです。
「何で、私がそんなことをしないといけないの?」
「こんなことを私から言うなんて、しゃくでしょうがない!」
「絶対に私から言いたくない!」
感情とコミュニケーションは別のもの
ここで理解してもらいたいことは、「感情の発散とコミュニケーションは別である」ということです。
あなたがパートナーの言動に腹を立てることと、
今後の対処のためにパートナーとコミュニケーションを取ることは、全く別の問題です。
先程の例というと、彼女が「しゃくでしょうがない」と思うことと、
『Iメッセージ』でパートナーに気持ちを伝えることは、別の問題ということです。
コミュニケーションすることは、感情の結果でもなければ、相手を批判することでもなく、
相手を責めることでもありません。
あなたの感情や想いを、パートナーに近づきたいという願いとともに分かち合うことです。
感情はあなたのものです。
一時の感情に身を任せて、自分の感情に責任を持たずに発散してしまうと、
誰かを責め、攻撃し、自分を被害者として振る舞うことになります。
終わった出来事に対して感情に惑わされることなく、望ましい未来に向けて適したコミュニケーションを取ってください。
あなたは、コミュニケーションで、相手に本音を伝える必要はないのです。
ただ無条件で、感謝や謝罪、ねぎらいを伝えてください。
たとえ、本音ではそう思ってなくても、伝えてみてください。
パートナーとケンカをする人ではなく、パートナーを無条件で愛する人になってみましょう。
その結果は、自分が幸せになることしか起こりません。
どうしても『Iメッセージ』を伝えられない方へ
あなたの言葉を『Iメッセージ』を使って伝えることで、相手を一瞬にして変えることができます。
あなたには、今の関係性を改善できるチカラがあるのです。
にもかかわらず、行動に移せない、一向に『Iメッセージ』を伝えることができないのだとしたら、
あなたの心を止めているブレーキがあるかもしれません。
おそらく、このどちらかにあなたのテーマがあります。
1. 自分には改善できるチカラがあることを知らなくて(信じられなくて)できない。
2. 何で自分からやらないといけないのかと、怒りでできない。
自分には改善できるチカラがあることを知らなくて(信じられなくて)できない人は、「自己効力感」を育てましょう。
自己効力感とは、何らかの問題に向き合ったときに「こうすれば上手くいくはずだ」というプランを立てられ、
考えたプランを実行できる自信を持つ感覚です。
今回の事例でいうと、「自分はパートナーに影響を与えることができるのだ」
「この関係性を変えることができるのだ」と信じられる感覚です。
自己効力感を育てるのにもっとも効果的なものは「制御体験」です。
制御体験とは、自分自身で行動を決定して成功・達成に導いた経験となります。
これまでの成功体験を繰り返していくことが必要です。
まずはちょっとしたコミュニケーションで、『Iメッセージ』を活用してみましょう。
小さなことでよいので、「上手く相手に伝わった、相手が自ら動いてくれた」という成功体験をしてみてください。
その成功の積み重ねが自信となり、あなたの自己効力感を大きくしてくれます。
また、何で自分から『Iメッセージ』を伝えなくてはいけないのかと、怒りでできない方は、
パートナーに「シャドー」を見ていることがあります。
シャドーとは、自分の「最も忌み嫌っている性質」を他人に投影している状態です。
自分の「嫌なところ」や「否定し、抑圧した自己概念」「自分の心の側面」を心うつしに見せてくれます。
パートナー、家族など、身近な存在に投影されます。
そう、シャドーとは「見たくない自分」のことです。
いきなり見たくない自分が訪ねてきたら、直視できずに脅威反応が起きます。
戦ったり、逃げたり、誤魔化したり、固まってしまうことでしょう。
そのようなとき、本当はどうすればよいのでしょうか?
それは、あなたが無条件で相手を許し、育むことです。
許せないという想いを手放したとき、ものの見方が変わります。
あなたが、別の視点でものごとを見ることができたとき、その状況は全く別のものになります。
どんな状況でもそのまま認め、相手を許したときに「癒し」が起こります。
癒しとは、認識の仕方を変え、新しい光のもとで状況を見ることです。
周りと未来を豊かにするゴールが見えるはずです。
あなたのシャドーを癒してあげてください。
きっと、こんなふうに思えるようになるはずです。
「旦那さんは、歪んだ愛情の表現をする人だ。
自分の中にもある、歪んだ愛情表現をするところを見たくない。
そのため、私は彼と戦ってしまう」
「歪んだ愛情表現をしてしまうことを許してあげよう。
旦那さんは愛情表現ができないから、だからこそ、上手くできるように育てよう。
きっと、彼と上手くやっていけるようになる」
そう、あなたはパートナーと上手くやっていけるのです。
男女の違い、女性には子育てと仕事の葛藤がある
パートナーを理解する上で、男女の違いも知っておくとよいでしょう。
男性にはなく、女性だけにある葛藤があります。
この違いが原因で、女性から衝突を起こしてしまうことがよくあります。
子どもと仕事を持つ女性の多くが、子育てと仕事の両立で悩みます。
実はこの葛藤は、男性には発生しません。
女性にとって、子どもは誰よりも愛しい存在で、子育てが非常に大事だと思っています。
けれども仕事を持つと、仕事が優先になってしまうのです。
これは、愛情が薄くなったわけではありません。
子どものことは変わらずに愛しています。
ただ、人間の本能として、社会に役立ちたいという想いがあります。
そのため、どうしても社会的責任を果たしたくなるのです。
女性は、ここに大きな葛藤が生まれます。
男性も、もちろん子どもを愛していますが、このような葛藤は発生しません。
そのため子どものいる女性は、この葛藤からの怒り、パートナーに理解してもらえない強い怒りが発生します。
仕事で活躍する女性は、自分の責任を果たすために献身的で、
同僚や他人に優しく、強い怒りというイメージと合わないと感じる人も多いでしょう。
しかし、あなたの怒りは、あなたの大切な人に向いてしまうものなのです。
この場合、他人ではなく、旦那さんや子どもに向けられます。
先ほどご紹介した、土日に受けたい講座があって、旦那さんに相談した女性の例もこれに当てはまります。
彼女は、土日の講座を受講することに対し、
子どものことよりも自分の自己実現を優先していることへの罪悪感を抱いていました。
これがパートナーを通して、彼女のシャドーとして、目の前に現れたのです。
育児と仕事との葛藤で、自分を責めないでください。
子育てより社会を取るのは、人としての本能です。
そして男性は、その葛藤に気がつきません。
彼にあなたの気持ちを話したとしても、理解してもらえないかもしれません。
彼はあなたにとって、話すと疲れてしまう、面倒臭い相手となるかもしれません。
でも、あなたが本当に幸せな選択をしたいのであれば、あなたのそのときの気持ちは沸き立っているかもしれないけれど、
目の前にいる不器用で、歪んでいるかもしれない男性を助けてあげてください。
「私の態度であなたを不快にさせてごめんね。そんな私を支えてくれてありがとう」
パートナーを許し、『Iメッセージ』を伝えてあげてください。
幸せへの行動を起こすのはあなたから
大切な人との関係性を一瞬で改善するための言葉掛けとして、『Iメッセージ』のテクニックをお伝えしましたが、
実際に『Iメッセージ』が言えるかどうかは、私たちの内面の問題となります。
そのため、あなたが取るべき行動は以下のいずれかになります。
- 内面の問題は脇に置いておいて、まずは『Iメッセージ』のテクニックを使ってパートナーとの関係性を改善してみる
- 内面にアプローチして、その感情に折り合いをつけてから、『Iメッセージ』のテクニックを使ってみる
自分の感情の対し素直に反応してしまう方は、後者の道を選んだ方がよいかもしれません。
あなたの内面にアプローチして、その感情に折り合いをつける方法は、自分とのコミュニケーション(内部対話)です。
自分とのコミュニケーションで、自己効力感や、相手や自分へ向き合う方法を実践して高めてから、
『Iメッセージ』を行っていきます。
いずれにしても、あなたが本当に欲しいものを手に入れるための方法は、「コミュニケーション」なのです。
パートナーとの幸せな関係性を築くために、改善に向けての行動は、ぜひあなたから行ってください。
パートナーに、感謝とねぎらいを伝えましょう。
そして、自分のことを大切にしてください。
自分を大切できない人は、他人を幸せにはできません。
最高のパートナーを幸せにしてあげてください。
あなたは、パートナーから愛される存在であることを受け取ってください。
コミュニケーションを学んで、あなたの心を、パートナーの心を理解してみてください。
素直なあなたが、パートナーとの関係性を一瞬で改善させてくれることでしょう。