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【解説】職場の人間関係に役立つ正しい心理学とは?

【解説】職場の人間関係に役立つ正しい心理学とは?

投稿日:2024年9月17日 / 最終更新日:2024年9月19日

職場での人間関係は、仕事のパフォーマンスや職場環境に直接的な影響を与えます。

良好な人間関係が構築されている職場では、メンバー同士が信頼し合い、協力的な環境が自然と生まれます。
場づくりに優れた職場環境であれば、生産性の向上と成果が期待できます。

心理学に基づいた人間関係の改善方法を学び、実践に活かすことで、職場環境をより良くするためのスキルを身につけましょう。
その結果、職場の雰囲気が向上します。

そのためには、短期的な結果だけでなく、キャリア形成に貢献する長期的視野を持つことも重要です。

人間関係が良い職場の効果

 

人間関係が良い職場では、次のような効果が表れます。

生産性の向上

良好な人間関係は、メンバー同士のコミュニケーションが円滑になり、情報の共有がスムーズになります。
これにより業務の効率が向上し、生産性が高まります。
また、お互いの強みを活かし合うことで、チームとしての成果も向上します。

創造性とイノベーションの促進

心理的安全性が確立された信頼関係がある職場では、メンバーが自由に意見を出し合い、新しいアイデアを提案することが容易になります。
すると、創造性が高まり、イノベーションが生まれやすい環境が整います。

ストレスの軽減とメンタルヘルスの向上

良好な人間関係は、メンバーの心理的な安心感を高めます。
互いに支え合う環境があることで、ストレスを感じにくくなり、メンタルヘルスの維持にも寄与します。
結果として、離職率の低下や、長期的な健康維持にもつながります。

チームワークの強化

職場での良好な人間関係は、チームワークの基盤となります。
信頼と協力をベースにした関係性は、チーム全体のパフォーマンスを向上させ、目標達成に向けた一体感を生み出します。

職場満足度の向上

メンバー同士の関係が良好であると、職場への愛着が強まり、仕事に対する満足度が高まります。
これにより、モチベーションが向上し、長期的に働き続けたいという意欲が生まれます。

職場でよく見られる人間関係の問題

職場での人間関係は、仕事の円滑な進行や組織全体のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
しかし、多くの職場では、人間関係の問題によって個人やチームにさまざまな負の影響を及ぼすことがあります。

情報が共有されず、プロジェクトの失敗や納期遅れ

職場でのコミュニケーション不足が原因で、情報共有が不十分だったり、まったくと言っていいほど共有されていなかったりという事態が起きています。
その結果、誤った判断や誤解が生じるリスクが高まります。

特に、部門間や階層間でのコミュニケーションが不足している場合、組織全体の一体感が損なわれる問題が生じている可能性があります。
コミュニケーション不足は、仕事の進捗が遅れたり、品質が低下したりする原因となります。

個人レベルでは、指示や期待が不明確なために仕事のミスが増えることにつながり、ストレスや不安感が高まります。

チームレベルでは、メンバー間の協力が不足し、連携がうまく取れないことで、プロジェクトの失敗や納期遅れにつながることがあります。

誤解やミスコミュニケーション

職場では、言葉の使い方や意図の違いから、しばしばイージーミスが生じます。
それにより、指示が誤って伝わってしまったり、人格が傷つけられることさえあります。

誤解やミスコミュニケーションは、無用な対立を引き起こし、職場の雰囲気を悪化させる原因となります。

個人レベルでは、仕事に対する自信を失い、モチベーションが低下することがあります。

チームレベルでは、協力が不十分になり、効率的な業務遂行が難しくなるため、全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。

対立や衝突で組織全体に亀裂

職場では、意見の相違や価値観の違いから対立や衝突が発生することがあります。
これがエスカレートすると、感情的な争いや派閥の形成に発展することもあります。
対立や衝突は、職場の雰囲気を悪化させ、ストレスレベルを高めます。

個人レベルでは、精神的な負担が大きくなり、仕事に集中できなくなることがあります。

チームレベルでは、メンバー間の協力が困難になり、目標達成が遠のく原因となります。
さらに、対立が解消されないまま放置されると、組織全体に亀裂が生じ、長期的なダメージを与える可能性があります。

排他性やいじめで職場環境が悪化

職場において、特定の社員が排他される、またはいじめの対象となることがあります。
これは、個人のパフォーマンスや心理的健康に深刻な影響を及ぼす問題です。

排他性やいじめが発生すると、被害者は深刻なストレスを感じ、メンタルヘルスの問題を抱えることにもなります。
仕事に対する意欲や能力が低下し、最悪の場合、離職につながることもあります。

チーム全体にとっても、これらの問題は士気を低下させ、職場環境を悪化させる要因となります。

過度な競争心

職場内で過度に競争心が煽られると、同僚との協力が損なわれ、他者を蹴落とすような行動が促進されることがあります。
過度な競争は、短期的には成果を生むことがあるかもしれませんが、長期的にはチームの一体感を損ないます。

個人レベルでは、持続的なストレスと不安を引き起こし、バーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクが高まります。

チームレベルでは、協力的な文化が失われ、個々の成功がチーム全体の成功につながりにくくなります。

職場で見られる人間関係の課題は、個人のメンタルヘルスやチーム全体のパフォーマンスに深刻な影響を及ぼす可能性があります。
これらのテーマに対処し、適切なコミュニケーションと協力を促進することで、職場環境を改善し、全体の生産性を向上させることができます。

心理学を使った人間関係の改善方法

職場の人間関係において心理学的な知見を活用することで、コミュニケーションの質を向上させ、信頼関係を築き、対立を円滑に解消することが可能になります。

心理学的アプローチは、人間の行動や感情、思考の仕組みを理解し、それを基に人間関係をより良くするために役立ちます。

それでは、職場の人間関係を改善するために役立つ具体的な心理学的手法を紹介します。

共感能力

他者の感情や視点を理解し、共感する能力は重要です。
共感性を持つことで、相手の立場に立って考えることができ、誤解や対立を避けることができます。

職場で共感能力を実践する方法は以下の通りです。

①積極的に共感する

相手の話をよく聞き、その気持ち・感情・考えに寄り添う姿勢を示します。
たとえば、相手が困っていると感じたら、「それは大変ですね」とねぎらう言葉をかけるだけでも、相手は理解されていると感じます。

②非言語的コミュニケーションを活用する

相手の表情や仕草に注意を払い、適切な反応を示すことで、相手に安心感を与えることができます。

アサーション(自己主張)

アサーションは、自分の意見や感情を率直に、相手を尊重しながら伝えるコミュニケーション技法です。
これにより、誤解を避けつつ、自分の考えや要求を明確に伝えることができます。

職場でアサーションを実践する方法は以下の通りです。

①Iメッセージを使う

相手を非難するのではなく、自分の感情や意見を伝えるために、「私はこう感じています」や「私にはこう見えます」という表現を使います。
これにより、相手を攻撃することなく、自分の立場を明確にできます。

②場を感じ取り、適切な関わり方をする能力を育む

アサーションは、相手に対する尊重を含んでいるため、適切なタイミングと場所で実践することが重要です。
たとえば、プライバシーが保たれる場所で冷静に話をすることが効果的です。

アクティブリスニング(積極的傾聴)

アクティブリスニングとは、相手の話をただ聞くだけでなく、理解し、適切な反応を示すリスニングスキルです。
相手は自分の話が真剣に受け止められていると感じ、信頼関係が深まります。

職場でアクティブリスニングを実践する方法は以下の通りです。

①アイコンタクトをする

相手の話を聞いているときには、しっかりと目を見ましょう。
興味を持っていることを示すために、アイコンタクトは必須です。

②適切なフィードバックを提供する

相手の話を理解したことを示すために、「なるほど、それは…ですね」など、話の要点を繰り返すと効果的です。
また、相手が求めている場合には、適切な質問を投げかけることで、話を深めることができます。

③話を遮らない

相手が話している途中で口を挟まないようにしましょう。
最後まで話を聞くことで、相手に対する敬意を示します。

ポジティブ・リインフォースメント(積極的強化)

ポジティブ・リインフォースメントは、望ましい行動が生じたときにそれを強化することで、その行動が増えるようにする心理学的手法です。

職場でこれを実践する方法は以下の通りです。

①小さなことから称賛や感謝を表す

メンバーが良い成果を上げたときや、協力的な姿勢を見せたときに、その努力を認め、言葉で感謝や称賛を表します。
これにより、同様のポジティブな行動が促進されます。

②小さな成功を祝う

大きな成果だけでなく、日々の小さな成功も評価し、職場全体で共有することで、モチベーションを高めることができます。

まとめ

心理学的アプローチは、職場の人間関係を改善し、より良い職場環境を築くために非常に有効です。

共感能力を活かして相手の立場を理解し、アサーションで自分の意見を尊重しながら伝え、アクティブリスニングで相手の話に真剣に耳を傾けることだけでも、職場のコミュニケーションは飛躍的に向上します。

ポジティブ・リインフォースメントを活用することで、ポジティブな行動が強化され、職場全体の雰囲気も改善されます。
これらの手法を実践することで、信頼と協力に満ちた職場環境を作り出すことができるでしょう。

相手をコントロールしようと操作的に心理学を活用するのではなく、組織全体として貢献を軸に、それぞれのパフォーマンスと人格形成を目的として心理学を活用するのであれば、望む結果が手に入るでしょう。

著者プロフィール 椎名規夫(公認心理師、NLPトレーナー)

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会 代表理事
経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長

1961年生まれ。茨城県取手市出身。

「変われなければ心理学ではない!」をスローガンに、心理の国家資格『公認心理師』の知識を活かして、日本で唯一、科学的根拠のある心理学をベースにしたコミュニケーションスキル(コーチング、カウンセリング、メンタリング、セラピー、コミュニケーション能力、コミュニケーション心理学)を提供。

エビデンスベースド(科学的根拠のある)心理学とコミュニケーション能力こそが社会人、ストレス社会、人生100年時代に役立つスキルと確信してトレーニングを実施中。

  • 総務省 「コミュニケーションの基礎に関する研修」
  • 全国6万社が加盟する厚生労働省の労働基準局所管特別民間法人『中央労働災害防止協会』にてコミュニケーション技術力研修担当10年以上
  • 労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当
  • 独立行政法人教職員支援機構にて全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング講座担当など
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