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【解説】ストレスマネジメントとは?|健康な社会人が自分でできるストレスマネジメント

【解説】ストレスマネジメントとは?|健康な社会人が自分でできるストレスマネジメント

投稿日:2024年10月31日 / 最終更新日:2024年11月7日

「最近、睡眠不足だな…」

「この仕事向いていないのかなぁ…」

「残業が多くて疲れているなぁ…」

「最近、家族と一緒の時間が取れていない…」

「やりがいがある仕事だけれど、人間関係が…」

「このまま、この会社にいていいのかな…」

こんな場面で役立つのがストレスマネジメントです。

厚生労働省の公式サイト「e-ヘルスネット 」によると、ストレスマネジメントとは、『ストレスとの上手な付き合い方を考え、適切な対処法をしていくこと』とされています。

この記事では、個々のストレスの原因やその影響を軽減するための具体的な方法をご紹介します。
これらの方法を用いて、心身の健康を維持し、ストレスによる悪影響を最小限に抑えることを目指してみてはいかがでしょう。

ストレスを感じる場面


社会人が直面しているストレスは、現代社会の働き方や生活スタイル、社会環境の変化に伴うものが多く、それらは心身の健康に大きな影響を与えることが懸念されています。

ここでは、人はどのような場面でストレスを感じているのか、ストレスがどのような問題を引き起こすのかを解説します。

 

長時間労働と過労

「集中力が続かない…」
「家に帰ったら寝るだけだもんなぁ…」
「日曜の夕方は憂鬱だなぁ…」

人材不足が叫ばれている今、働く者の多くは職場での業務負担が大きく、長時間労働の常態化は代表的なストレスの要因です。

長い労働時間によって体力的な疲労やメンタルの疲れが蓄積し、過労やバーンアウト(燃え尽き症候群)を引き起こすリスクがあります。

過労は、慢性的なストレスや心身の不調をもたらし、最悪の場合には過労死につながることもあります。

仕事とプライベートのバランスの欠如

共働きのパワーカップルなら、妻:「家事分担、私の方が多すぎない?」
夫:「そんなことないよ!俺もきみの知らないところでやってるよ!」

子どもとなら、母:「ただいま、なんで散らかってるの!ママは仕事してるんだから、自分のことは自分でやって!」
子:「ママ、最近怒りっぽくない?」

こんなことが起きがちです。

仕事に多くの時間やエネルギーを費やすことにより、プライベートな時間が不足し、家族や友人との時間が犠牲になったり、趣味やリラクセーションの時間が取れなかったりということがよくあります。

ワークライフバランスの欠如は、精神的な健康や幸福感に悪影響を与え、生活の質が低下する原因となります。

職場の人間関係の問題

「上司と会うのが嫌だなぁ…」
「あのお客様、苦手だなぁ…」
「年下なのに、あいさつもしない…」
「あの人、セクハラだよなぁ…」

職場での人間関係は、社会人にとって重要なストレス要因の一つです。
上司や同僚とのコミュニケーション不足、パワーハラスメント、いじめなどが原因で、職場での居心地が悪くなり、ストレスや不安が増大することがあります。

職場の人間関係が悪化すると、仕事へのモチベーションや生産性が低下するリスクが高まります。

将来への不安やキャリアの悩み

「このまま、この会社にいていいのかなぁ…」
「私のやりたいことって、これなのかなぁ…」
「将来、独立起業したいけれど、甘くないよなぁ…」

将来のキャリアパスに対する不安や、キャリアの停滞、昇進・昇給の機会の欠如などが、社会人にとっての大きな悩みとなることがあります。

キャリアチェンジが頻繁に行われる昨今、転職や職場の変化に対する不安が増加することが多く、これが長期的なストレスにつながることがあります。

経済的な問題

「最近、給与が上がらない…」
「物価が上がっているのに、このままで大丈夫かな?」
「転職した方が収入は上がりそうだなぁ…」

生活費や住宅費、教育費、老後の資金など、経済的な問題も社会人にとって大きなストレス要因です。
収入が仕事量に見合わない場合や、突然の支出に対処できない場合、経済的な余裕がない場合に精神的な不安を引き起こすことがあります。

健康管理の難しさ

「ストレスで食べちゃう…」
「飲んでばかりで休肝日がない…」
「夜中に食べちゃうんだよなぁ…」

忙しい日常生活の中で、適切な食生活や運動、十分な睡眠を取ることが難しい社会人も多くいます。

仕事のプレッシャーや長時間労働によって、健康的な生活習慣が疎かになりがちです。
これにより、肥満、メタボリックシンドローム、生活習慣病などのリスクが高まることがあります。

情報の氾濫

「休みの日までSNSに仕事の連絡が…」
「完全オフの日ってあったかなぁ…」
「気持ちを切り替えるのが難しくなったなぁ…」

インターネットやスマートフォンの普及により、常に情報にアクセスできる現代では、情報過多による「情報の氾濫(テクノストレス)」が問題となっています。

仕事の連絡が常時届くため、完全オフの時間が確保できず、休息が妨げられることがあります。
また、常にSNSやニュースの更新を追うことで、精神的な疲労が蓄積することもあります。

社会的孤立や社会的なつながりの欠如

「今日、誰とも会話しなかった…」
「挨拶以外、会話しなかった…」
「最近、友だちと会ってないなぁ…」

都市部では、忙しさや人間関係の希薄さから、社会人が孤立感を感じることが多くあります。
家族や友人との関係が疎遠になったり、職場以外での社会的なつながりが減少したりすると、精神的な健康が脅かされ、うつ病や不安障害のリスクが高まります。

睡眠不足

「睡眠不足が続いているなぁ…」
「もう、起きる時間か…」
「ぐっすり寝れない日が続くなぁ…」

仕事や生活のストレスにより、十分な睡眠が取れない社会人も多いようです。
睡眠不足は、集中力の低下や免疫力の低下を引き起こし、長期的には心身に深刻な影響を与えることがあります。

また、睡眠不足は、うつ病や不安障害のリスクを高める要因にもなります。

ストレスマネジメントの技術

ストレスマネジメントの技術は、マインドフルネス、運動、バランスの取れた食生活、時間管理、ソーシャルサポート、認知行動療法、十分な睡眠など、多様なアプローチがあります。

これらの技術を日常生活に取り入れることで、心身の健康を維持し、ストレスを効果的に管理できるようになります。

マインドフルネス

マインドフルネスとは、現在のご自身の考えを善悪の判断をせず、客観的に受け入れた状態を指します。

瞑想や呼吸法で「今この瞬間」に意識を集中させることで、雑念や不安を取り除き、心の平静を取り戻します。

ストレスにより緊張した心身をほぐすためのリラクセーション法は、即効性のあるストレス解消手段です。

①呼吸法

椅子に座って目を閉じて、体の感覚に意識を向けてゆっくりと呼吸します。
空気の出入りによる胸やお腹の膨らみやへこみや、鼻を通る空気の感覚を意識してみましょう。
副交感神経を活性化し、リラックス効果が得られます。

②瞑想

瞑想には、歩行しながら行う瞑想、立った姿勢で行う瞑想、座った姿勢で行う瞑想があります。
いずれも自分の動きや感覚に注意を向けながら行うことで、思考がクリアになります。

適度な運動

運動はストレス軽減において非常に効果的です。
体を動かすことでエンドルフィンが分泌され、気分が向上します。

バランスの取れた食生活

健康的な食生活は、心身のストレスに対する耐性を高めます。
栄養バランスの取れた食事は、身体だけでなく心の健康にも良い影響を与えます。

ソーシャルサポート(社会的支援)の活用

厚生労働省の「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」によると、ソーシャルサポートとは「人と人との支え合い」のこと。
他者とのふれあいや関わりは、ストレスを軽減する上で非常に重要です。

たとえば、家族を含めた周りの人からいろいろなサポートを受けることで、適度な運動やバランスの取れた食生活などの習慣が長続きしやすくなると考えられています。
また、周りの人からのサポートを受けることによって、ストレス要因の影響が緩和されるともいわれています。

雑談を通して悩みを相談できるなど、家族や友人、同僚との関係を良好に保つことが勧められています。
家族や友人に相談できない場合は、カウンセラーなどの専門家に相談しましょう。

 

心理の専門家から見た「ストレス」とは

ここからは、心理の専門家としてコミュニケーション能力と心理学を20年以上トレーニングしてきた経験をもとに、ストレスについて解説します。

ストレスは避けられない

ストレスは、私たちの生活の中で完全に避けることはできません。
日常的な出来事や変化、仕事、家庭生活、人間関係など、どんな場面でもストレスは発生します。
ストレスをゼロにすることを目標にするのではなく、どのように対処するかが重要です。
ストレスを適切な方法で対処することが、心身の健康を保つカギです。

ストレスの影響には良い部分と悪い部分がある

ストレスには、悪い側面(悪影響)だけでなく、良い側面(ポジティブな効果)が存在します。

悪い部分としては、ストレスが蓄積すると、心身に不調をきたし、うつ病や不安障害、身体的な病気を引き起こすことがあります。

たとえば、過度のプレッシャーによって仕事の効率が低下したり、疲労感やイライラが増えたりすることが考えられます。

一方で、ストレスには良い部分もあります。

適度なストレスはモチベーションを高め、自己成長のきっかけとなることがあります。
たとえば、締め切りがある状況では、ストレスが集中力を高め、効率的に作業を進める助けになることがあります。

ストレスの良い部分、役立つ部分に目を向ける

ストレスマネジメントにおいて重要なのは、ストレスの良い側面、ポジティブな効果に目を向けることです。

ストレスをすべて悪いものと捉えるのではなく、適度なストレスは成長のチャンスであると認識することが大切です。

これは「ストレスに対する認知の仕方」を変えることで可能になります。

ストレスがプラスの影響を与える側面

ここからは、適度なストレスが心身にもたらす良い効果についてお伝えします。

モチベーションを高める

適度なストレスは、目標達成や課題への挑戦を促す原動力となります。

たとえば、締め切りが近い状況では、ストレスが集中力を引き出し、効率的に作業を進める助けとなることがあります。

ストレスによって危機感が生まれることで、達成感を得るための行動が引き出されます。

自己成長を促す

ストレスに対処し、乗り越える経験は、自己効力感を高めます。
これは、ストレス耐性や問題解決能力の向上にもつながります。
困難な状況を乗り越えたときに得られる達成感や自信は、自己成長の重要な要素です。

パフォーマンスを向上させる

適度なストレスは、集中力や注意力を高め、より良いパフォーマンスを引き出すことがあります。

たとえば、スポーツ選手やアーティストは、試合や舞台の緊張感をうまく利用して、最高のパフォーマンスを発揮することがよくあります。

これは、アドレナリンなどのホルモンが分泌され、身体が集中モードに入るためです。

柔軟な思考を促進する

ストレスは、問題解決のために新しい視点やアプローチを必要とする状況を生み出すことがあります。
困難な状況に直面することで、クリエイティブな思考が促され、新しいアイデアや解決策を見つけることができる場合もあります。

人間関係の強化

ストレスがかかる状況で他者と協力することは、絆を深める要素になります。
共に困難を乗り越えることで、信頼関係や協力体制が強化されることがあります。
チームでのプロジェクトや家庭内の問題解決において、ストレスが互いの連携を強めることがあるのです。

適応力の向上

ストレスを経験することで、適応力(レジリエンス)が養われます。
これは、将来の困難に対する対応力を強化し、さらなるストレスに直面したときに、より柔軟かつ効果的に対応する力を育てます。

まとめ

人手不足による長時間労働や人間関係、社会的孤立や将来への不安など、社会人が感じるストレスの原因はさまざまです。

ストレスは悪いものだと思われがちですが、必ずしもそうではありません。

適度なストレスには、私たちの生活や仕事にポジティブな影響を与えてくれます。

モチベーションの向上、自己成長、パフォーマンスの向上、人間関係の強化、柔軟な思考の促進など、ストレスをうまく活用することで、個人の成長や成功につながる可能性があります。

全てのストレスを悪いものと捉えず、適切に管理して、良い側面を引き出すことが大切です。

著者プロフィール 椎名規夫(公認心理師、NLPトレーナー)

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会 代表理事
経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長

1961年生まれ。茨城県取手市出身。

「変われなければ心理学ではない!」をスローガンに、心理の国家資格『公認心理師』の知識を活かして、日本で唯一、科学的根拠のある心理学をベースにしたコミュニケーションスキル(コーチング、カウンセリング、メンタリング、セラピー、コミュニケーション能力、コミュニケーション心理学)を提供。

エビデンスベースド(科学的根拠のある)心理学とコミュニケーション能力こそが社会人、ストレス社会、人生100年時代に役立つスキルと確信してトレーニングを実施中。

  • 総務省 「コミュニケーションの基礎に関する研修」
  • 全国6万社が加盟する厚生労働省の労働基準局所管特別民間法人『中央労働災害防止協会』にてコミュニケーション技術力研修担当10年以上
  • 労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当
  • 独立行政法人教職員支援機構にて全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング講座担当など
椎名規夫トレーナー

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