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コミュニケーション!コミュニケーションとは? コミュニケーションの本質を知ろう!

コミュニケーション!コミュニケーションとは? コミュニケーションの本質を知ろう!

投稿日:2022年2月4日 / 最終更新日:2024年10月29日

 

コミュニケーション(communication)とは?

日本にはなかったコミュニケーション

 

コミュニケーション(communication)という言葉は外来語です。

日本でコミュニケーションが注目されるようになったのは、比較的最近のことで1990年代ころからです。
私たちのスクールの前身は2004年に始まりましたが、当時、自己紹介で「コミュニケーションを教えています」と伝えると、相手から「新興宗教ですか?」と疑われた時代でした。
コミュニケーションの本質を伝えるスクールがまだ認知されていなかったのもあって、人前で話すスピーチの練習やマナーを伝える「話し方教室」と勘違いされたこともあります。

1970年代から、グローバル化や企業文化の中でコミュニケーションは注目されていました。しかし、まだまだ、一般的ではなかったのです。

 

日本の『以心伝心』がコミュニケーション!


言葉として「コミュニケーション」が入ってくる前から、日本には他者との関わりや意思疎通を大切にする独自の文化や概念は存在していました。そして、コミュニケーションに似ている言葉で、「以心伝心」という考え方がありました。
「以心伝心」とは、言葉を使わなくても心が通じ合える意味で、相手の気持ちを察することや、言葉以外のメッセージをやり取りする能力が重視されていました。

そして、言葉での他者との関わり方を言語コミュニケーション。
相手の気持ちを察することや、言葉以外のメッセージをやり取りすることを非言語コミュニケーションというようになりました。

 

文部科学省の有識者会議におけるコミュニケーション能力の定義でも、それらのことが見て取れます。

(文部科学省の参考サイト:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/056/siryo/attach/1366049.htm

「いろいろな価値観や背景をもつ人々による集団において、相互関係を深め、共感しながら、人間関係やチームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない問題について、対話をして情報を共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決する能力」

また、同サイトで言語と非言語に関しても明確に記されています。
コミュニケーション能力は、話す・聞く・書く・読むといった言語活動のほか、非言語による伝達手段(イメージ、音、身体)も含めた広範な活動に関わるものである。このため、「コミュニケーション能力」の向上には、言語能力のほか、非言語能力の向上も必要である。

 

コミュニケーションとは、いろいろな価値観や背景をもつ、他人(自分以外の人)との関わり方です。
他人と言語コミュニケーション、非言語コミュニケーションをして情報を共有し、深く考え、考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決することです。

ですから、いろいろな背景を持つ他人との関わりであるコミュニケーションは、上手くいかないこともあるのです。

社会では今、コミュニケーション能力が、様々な場面で求められています。


ビジネスの場面では、人材育成、チーム内の報告・連絡・相談、または顧客との関わりで、
親子・家族間、子育て、友人関係、コミュニティーや地域社会での関わり、
私たちの生活のあらゆる場面においてコミュニケーションとその能力が求められているのです。

社会で求められているコミュニケーション能力。
それは、どのように身につければいいのでしょう!

 

この記事では、「コミュニケーション(communication)とは何なのか?」「コミュニケーションを円滑にする手段は?」「コミュニケーションをとることのメリット!」「コミュニケーションの上達のポイント」などを紹介します。

社会から求められるコミュニケーションの参考になれば幸いです。

今、社会で起きているコミュニケーション能力の問題!

 

 

コミュニケーションの問題とは何か?

当然ですが、コミュニケーションが必要な場面で問題は起こります。
コミュニケーションが引き起こす問題の代表は、人間関係や対人関係でしょう。


「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」が有名なアドラー心理学。
また、古代ギリシャの哲学者アリストテレスも『ニコマコス倫理学』で「人間は社会的な動物である」、人間の幸福は他者との良好な関係の中でしか達成されないと考えました。

人間関係、対人関係が私たち人間の大きな問題であることは、アドラー心理学が始まりではなく、少なくとも紀元前400年のギリシャ帝国時代から同じだったのです。

なぜ、コミュニケーションの問題が起きるのか?

私たちは『本音』と『建て前』を使い分ける社会で生きています。

以心伝心を大切にしてきた私たちが暮らす日本では、まわりと『本音』で関わるより、『建て前』や言葉の行間を感じ取ってもらいながらコミュニケーションします。重要なポイントです。非言語コミュニケーションがコミュニケーションを成立させる中心になるのです。

しかし、目に見えない、耳で聞こえない非言語コミュニケーションを、誰もが簡単にできるものではありません。

「はい」という言葉のメッセージには、

  • 本心の「はい」
  • 建前の「はい」
  • 面倒な「はい」
  • いやいやの「はい」
  • 責任逃れの「はい」
  • 怒りの「はい」
  • 絶望の「はい」

という感情や考え方、状況、立場という非言語メッセージがついているのです。

この言葉のメッセージ非言語のメッセージのギャップがコミュニケーションの問題、ミスマッチを引き起こします。

ですから、言語コミュニケーション以上に、非言語コミュニケーションが重要なのです。

そうです。以心伝心がコミュニケーションで成功するポイントなのです。

コミュニケーション能力を学んだことのない者たちとの関わる社会。
本当のコミュニケーションの問題

コミュニケーションとは、いろいろな価値観や背景をもつ人々と関わること。
そして、コミュニケーション能力とは、人々と関わることで、正解のない課題や経験したことのない問題について、合意形成・課題解決する能力でした。

だから、

  • 「コミュニケーション能力を研きたい!」
  • 「まわりに喜んでもらえる言葉を話したい!」
  • 「コミュニケーションをもっと上手くとれるようになりたい!」


というコミュニケーションを積極的に学びたいというニーズやウォンツがあります。

その一方で、次のような問題が起きています。
私たちのコミュニケーションスクールに学びに来る方の参加動機です。
「上司から、『コミュニケーションがダメだから学んで来い』と言われた…」
「上司から、『君の言っていることが分からない』と言われた…」
「上司から、『場を読みなさい』と言われた…」
上司にコミュニケーション能力があったら、こんなことを言われることはないでしょう。
部下が傷つくことを平気で伝えてしまう上司側に、コミュニケーションの本当の問題が隠れているのです。

これが社会問題の一つです。
コミュニケーション能力に乏しい上司や先輩社員との関わり方で、大きなストレスを抱える者たちが増えているのです。

日本経団連が調査した「新卒採用に関するアンケート調査」では、選考時に重視する要素として、2004年から16年連続で「コミュニケーション能力」が第1位となりました。

また、求める資質の上位5位までにコミュニケーション能力がランクインした企業は8割以上。
多くの企業がコミュニケーション能力を求めています。

コミュニケーションの問題が新しく入社する側にあるばかりでなく、迎え入れる側にあることを自覚をすることが、組織における人間関係・対人関係問題の解消に役立つヒントに思えるのです。

組織内のトラブルの90%以上がコミュニケーションのミスによって起こる!

また、「コミュニケーション能力」が、その企業にとってどのようなものを意味するかはとても曖昧です。
一般社会で言われているコミュニケーション能力とは以下の通りです。

  • 論理的、具体的な説明能力
  • 会話を膨らませて、相手の興味を引く話し方
  • 周りの人間との関係性の築き方
  • 課題にぶつかったとき、周りとどう折り合いをつけて解決に至ったか
  • つい気を許してしまうような人柄


また、求められる「コミュニケーション」も、どんどん変化していきます。

若手社員に求められるコミュニケーションであれば、職場のメンバーと打ち解けてやっていけそうかなどの人間性や、上司に対し、報告・連絡・相談(報・連・相)がしっかりできることなどが求められるでしょう。

中堅社員に求められるコミュニケーションであれば、関係者から情報収集したり、課題解決や新しい提案をし、チームとしてメンバーを支えたり引っ張ったりする。
周りの人間と信頼関係を築き、仕事で結果を出すことが必要となります。

管理職に求められるコミュニケーションであれば、傾聴力もポイントとなります。
部下の話を聞いて方向性を示してあげたり、叱咤激励したり、モチベーションの維持やメンタルヘルスに気を配ることも必要でしょう。

コミュニケーションは、相手との関係性でその手段は変わるものです。
では、今のご自身に必要なコミュニケーション能力とは、何なのでしょうか?

企業でコミュニケーションが求められ、重要視される一方で、本当に正しくコミュニケーションを理解できている方、実践できている方は、実はとても少ないのが現状です。

組織内のトラブルの90%以上は、コミュニケーションのミスによって起こるといわれています。
企業が16年間も「コミュニケーション能力」を求め続けているのは、コミュニケーションミスが一向に解決できないことを現しているのかもしれませんね。

先ほど、2004年からの日本経団連の「新卒採用に関するアンケート調査」で16年連続で「コミュニケーション能力」が第1位とお伝えしました。
実は、私ども一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会の母体は、2004年3月に誕生しました。

当時、初めて会う方から職業を聞かれて、
「コミュニケーションを教えています」「心理学を教えています」と応えると、新興宗教と誤解される社会でもありました。

社会がコミュニケーション能力に注力するようになったこの20年。
ますます、人間関係、対人関係、社会をより良くするためにコミュニケーション能力が求められているのでしょう。

この後は、コミュニケーションを理解するために、大切なポイントを3つご紹介します。


言葉と非言語! コミュニケーションには2種類ある

コミュニケーションには、「言葉による言語コミュニケーション」と「言葉以外の非言語コミュニケーション」の2種類があります。

言葉による言語コミュニケーションは、文字通りです。
非言語コミュニケーションは、言葉以外のコミュニケーションのことです。
他者とコミュニケーションを図る上で、態度や姿勢、表情や顔色、声のトーン、話す速度、ジェスチャー、視線などは、言葉以上に大きな役割を果たします。

例えば、誰かに「ありがとう」と言葉に出して伝える。
これは言葉によるコミュニケーションです。

では、心から感謝して伝える「ありがとう」と、「余計なことをしてくれたなぁ…」と思いながら伝える「ありがとう」を想像してみてください。

「ありがとう」と発する声のトーンや表情、その言い方、相手に対する視線など、この「ありがとう」という言葉には、非言語の情報が乗ってくるのです。
私たちは、言葉だけを相手に伝えることはできないのです。

そして、非言語の部分によって、同じ言葉でも全く異なる意図や感情を伝えてしまうことがあるのです。
どんなに素敵な言葉でも、非言語によって意思の疎通が困難になってしまうのです。

言葉は大切です。そして、それ以上に非言語が大切なのです。

こうした非言語的な情報を、私たちは無意識に受け取っているのです。
そこで私たちは、相手の言葉をそのままの受け取るのではなく、相手の言葉の背景にある非言語を感じ取り、コミュニケーションすることが大切なのです。

情報伝達とコミュニケーションは異なる

企業内では、情報伝達がお互いにしっかりできていることを、コミュニケーションがとれている状態だとしがちです。
そして、これは誤りです。

これはコミュニケーションではなくて情報伝達です。
情報は、論理的で、誰もがその言葉通りに受け取れるもので、そこに感情は発生しません。
情報伝達とコミュニケーションは異なるのです。

例えば、Aさんが上司に依頼され、急いで資料をまとめたけれど、当日の会議で使われなかったとしましょう。

「この件は議題から外れて、資料は使われなかった」という結果の情報だけを聞かされたとき、Aさんはどのように感じるでしょうか?
急いでまとめた自分の頑張りが報われなかった、本当に急ぐ必要があったのかと、モヤモヤすると思います。

一方、その上司から、このように言われた場合はどうでしょう。

「この件は議題から外れて、資料は使われなかった。急ぎでまとめてくれたのにすまなかった。次回の議題にも挙げるから、そのときに使わせてもらうよ」

Aさんの仕事が報われなかったことに変わりはありませんが、上司の態度から、「頑張ってくれたのに申し訳ない」という感情が伝わることで、Aさんの気持ちは、おそらく前者とは違ってくるのではないでしょうか?

非言語コミュニケーションのところでお伝えしたように、コミュニケーションは態度に現れます。
この場合、単なる情報伝達ではなく、上司の感情が伝わることで、上司とAさんの中でコミュニケーションが成立し、「この件は議題から外れて、資料は使われなかった」という情報を、Aさんが受け止めることができるのです。

相手との意思の疎通であるコミュニケーションが成立してから、相手に情報が伝わったのです。


コミュニケーションの主人公は受け手!

私たちは、相手が話した言葉や文章を、無意識的に自分の経験に置き換えて理解してしまいます。

例えば「近くに買い物に行ってくるから、戻ったらすぐに電話するよ」と言われたら、どのぐらいで電話が掛かってくると思いますか?

相手が話していた「近くに買い物」とは、家の隣のコンビニかもしれないし、片道20分の最寄りの駅の繁華街かもしれないし、最寄りの駅から2駅先の都心のデパートかもしれません。
買い物時間も30分なのか、1時間なのか、3時間なのかは分かりません。
それにもかかわらず、相手の話から自分の尺度に置き換えて、電話が来る時間を想像しているのです。


もし、ミスコミュニケーションが起きたとしたら、相手に受け取ってもらえていないのかもしれません。
大声を出してコミュニケーションしても、相手が受け取ってくれなければ失敗なのです。



この3つのポイントを踏まえた上でまとめると、「コミュニケーション」とは、認知や価値観などの前提のズレを考慮した上で、相手に合った表現方法によって、こちらの意志を伝え受け取ってもらうこと。

「コミュニケーション能力」とは、相手にこちらの意志を伝えて気づかせたり、どうしたらいいか自己決定をしてもらったりして、次のステップへと相手の行動を変えていくチカラです。
つまり「コミュニケーション能力」は、人を動かすチカラともいえます。


コミュニケーションのミスが起きた場面!

コミュニケーションのミスが起きた場面、つまり「ミスコミュニケーション」とは、情報を伝えた側と受け取る側で解釈違いや認識のずれが生じている状態のことです。

(よく似た言葉に「ディスコミュニケーション」がありますが、こちらはそもそも必要な情報伝達が行われていない、コミュニケーションが絶たれて機能していない状態を指します。)

組織内のトラブルの90%以上は、コミュニケーションのミスによって起こります。
ミスコミュニケーションが起こる原因は、大きく3つあります。

発信者と相手に認識の違いで、相手に伝わっていない

先ほどもお伝えしたように、同じ単語や言葉に対しても、私たちが理解している意味や価値観は人によって異なります。

また私たちは、相手が話した言葉や文章を、無意識的に自分の経験に置き換えて理解してしまいます。
「コミュニケーション(communication)」という言葉もそうです。

例えば、仕事で悩むAさんが、職場の先輩のBさんから、「もっと周りとコミュニケーションをとった方がいいのでは?」と言われたとしましょう。

この言葉だけだったとしたら、先輩Bさんは、職場でのコミュニケーションとはどういうことなのかを、Aさんに伝わるように話していません。
つまりAさんに、「どんなコミュニケーションが必要なのかは、空気を読んで自分で判断してね」と言っているようなものです。

これでは先輩Bさん自身が、コミュニケーションをとれていないという悲しい状態になってしまいます。
先輩Bさんのアドバイスは、「空気を読んで考えろ」ではなかったはずなのです。

どちらかというとその逆で、「勝手に空気を読んで解釈して1人で進めるのではなく、周りの人と色々意思疎通を図って、お互いの進捗を気にしたり、雑談してみたりしてはどうだろうか?」というものだったかもしれません。

一方のAさんは、自らの解釈で、「もっと情報収集しろ」と言われたと思ったかもしれないし、「周りをよく見ろ」と言われたと思ったかもしれないし、「周りと話して笑顔で仕事をしたほうがいい」と捉えたかもしれません。

このように、コミュニケーションという単語に限らず、私たちが普通に使っている単語の意味は、個人によって質感が異なります。

本来、この場で必要なことは、以下のどちらかです。

  • Aさんにとって必要だと思う「コミュニケーションのとり方」について、先輩Bさんが言葉で伝える
  • Aさんが先輩Bさんに、どのようなコミュニケーションをとればいいのか尋ねる

解釈によって曖昧になりがちなものについては、特に気を配り、相手との認識を揃える必要があります。


企業が求めるコミュニケーションに影響を受け、正しい認識がされていない

企業で伝えているコミュニケーション研修のテーマは、「伝え方」「叱り方」「褒め方」が目立っています。

企業として目指すのは、まずは風通しの良い職場として、部下が上司に相談や報告がしやすい「環境作りのためのコミュニケーション」です。
そのため、これらが選ばれやすいのでしょう。
これらの研修でお伝えしているテクニックは、きっと効果があり、素晴らしいものだと思います。

しかし一方で、そもそものコミュニケーションとはどうあるべきなのか、なぜ今まで上手くいかなかったのかという部分に十分焦点を当てずに、「伝えること」「叱ること」「褒めること」に特化した、テクニックという処方箋を与えることになります。

「伝え方」としては、報告・連絡・相談の略称である「報・連・相」が、仕事の基本として広く知られていますが、これは部下や後輩からの報告、連絡が来ることを前提としています。

また、上司としての「叱り方」は、部下を叱ることを前提にしたものです。
この場合はあくまでも、「コミュニケーション = 企業が求める理想に近づくための一部のテクニック」という、社内で特化されたコミュニケーション方法であることを知っておく必要があります。

他の場所で同じように通用するものではないかもしれません。コミュニケーションの本質は、もっと別にあるのです。


コミュニケーションの目的を見失っている

私たちが陥りがちなのが、「何のためにコミュニケーションを行うのか?」ということです。
よく勘違いしてしまうのが、自分の伝えたいことを相手に伝えることや、周りの人と仲良く話すことで満足してしまい、次のアクションに繋がらないまま、「コミュニケーションをした!」と判断してしまうこと。

コミュニケーションを行う目的は、コミュニケーションをした結果、相手に求める行動をとってもらうことです。
コミュニケーションは手段です。手段と目的を一緒にしてはいけません。

ご自身がコミュニケーションを行う目的は何でしょうか?
相手が考えてくれて、自分の意見に賛同してくれることかもしれないし、仲良くなってちょっとした頼みごとをお願いしやすい間柄なることかもしれないし、相手を理解して相手が考えていることに寄り添ってみて、自分の気持ちの整理をすることかもしれません。

私たちは、目の前にやるべきことに囚われて、その目的を忘れてしまうことがあります。
コミュニケーションの本質を理解することで、目的からの脱線を防ぐことができるのです。


コミュニケーションが成立する条件とは?

コミュニケーションとは、お互いの意思の疎通です。
それには、相手と同じ目線に立って物事を見ることが大切です。
そして、経験を共有することが、意志の疎通をする最低条件です。

自分が正しいと思っていることを伝えるだけでは、コミュニケーションは上手くいきません。
「自分の常識が相手にとっての常識とは限らない」という認識が、話がかみ合わなくなるのを防ぐ上で重要となります。

コミュニケーションを、キャッチボールにたとえることがありますね。
キャッチボールをするときは、相手にボールを受け取ってもらうため、ボールを上手に投げるテクニックをコミュニケーションテクニックとしがちです。

上手に投げることも大切なことです。
でも、相手と同じ目線に立つのだとしたら、投げることより受け取り方、そもそも自分から投げるのではなく、相手から投げてもらうように促す、相手の状況を見てから距離を決めるなど、投げる前や、投げる以外の部分にも大きな意味があることに気づくのではないでしょうか。

相手の目線に立った場合、このようなキャッチボールとなるかもしれません。

  1. 相手の感情を伺う(不安そうにしている、納得している、自信がありそう)
  2. 相手の状態を伺う(初心者か経験者か、いつならできるのか、道具があるか、ルールなど認識が合っているか)
  3. 準備が整ってから、相手に「今からボールが行くよ!」と声を掛ける
  4. 投げても、転がしても、直接手渡しでもいいから、相手が受け取りやすい方法でボールを渡す
  5. 相手に受け取ってもらう
  6. 相手の手にボールが馴染んでから、相手のタイミングでボールを返してもらう

このように、相手の目線になって考えることで、

  • 私の認識や価値観、私の気持ちを大切にしてもらえると嬉しい
  • 強制されるのではなく、どんな選択であれ、自分が決定権を持ちたい
  • 否定はされたくない(相手も正しい、私も正しい)

など、今まで気がついていなかったことが見えてくると思います。

コミュニケーションを上達させるポイントとは?

効果的なコミュニケーションをするためには、コミュニケーションのゴールを明確化することと、相手の反応をよく観察することだとお伝えしてきました。
ここでは、相手に伝わるためのコミュニケーションテクニックのポイントをご紹介します。

相手と信頼関係を築く

コミュニケーションで大切なのは、まずは相手と信頼関係を作り、話しやすい環境を築くことです。
コミュニケーションはあくまで手段です。
上手なコミュニケーションを取るためには、下地作りが大切です。
相手が身構えていて緊張しているような状態では、発信者の情報を受け取ることはできません。

初対面の人から話を聞くときに、「この人は大丈夫かな?」「信用していいのかな?」と思ったことはありませんか?
同じ内容だったとしても、初対面の人から説明されるのと、知人から説明されるのとでは、受け取り方が大きく変わるはずです。

初対面の人に限らず、伝えたいことを相手に受け取ってもらうためには、相手が安心して会話を始められるような状況を作ることが大切です。

すぐに議題に入るのではなく、伝える内容が大事であればあるほど、それが受け入れやすい環境を事前に整えておく必要があります。
話しやすい雰囲気を意識的に作るテクニックは数多くありますが、ここでは「イエスセット(yes set)」を紹介します。

イエスセットとは、会話の中で相手に「YES(はい)」という肯定的な反応を積み重ねることで、

  • 相手が言っていることが「YES」
  • 相手の存在自体が「YES」

という「信頼関係性を築いていく」心理テクニックです。
YESは3つ以上重ねるとよいでしょう。

ただし、これはあくまでも「信頼関係を築く」という目的でおこないましょう。
相手を自分の思い通りに動かしたいという操作主義的な目的でおこなっても信頼関係は作れません。

コミュニケーションは相手が主人公です。

相手の興味や関心に自分も興味や関心を持ち、その結果、相手がYESと答えられる内容が会話の中に自然に入ってくることが理想です。

本題に入る前に、自己紹介やちょっとした世間話からスタートすることがあると思います。
イエスセットではなくても、相手の話を肯定的に聞き、安心させるような内容や言葉を選んで話をしてみてください。
自然にYESが会話の中に増えていくでしょう。

相手の話をよく聞く

「聞く力」は、信頼関係を築くコミュニケーションの基礎となります。
コミュニケーションをとる場面で相手が満足感を得られるのは、「自分が話したいことを伝えられたとき」であるため、相手の満足感を重要視するのであれば、「話を聞くこと」に徹することがポイントです。

言葉で表現されたものをそのまま聞くだけではなく、非言語(姿勢や態度、表情、しぐさ、声の調子やトーン)で表現されたものにも心を傾けてみてください。

相手と呼吸を合わせてみましょう。
また、相手が話をしている最中に、口を挟まないように注意しましょう。
話を中断させてしまうのは、相手の満足度を下げる行為です。
相手の話を聞く際には、自分の解釈などは入れず、聞き役に徹します。

声は出さなくても、うなずき、相づちなどで、相手に反応を返してください。
単なる相づちではなく「聞いてもらえている」「話しても大丈夫」という安心感を相手に与えることが大切です。

相手に合わせて話す

互いの考えを理解し、認識を共有するためには、自分の考え・気持ちが相手に伝わらなくてはなりません。
私たちは、「相性が良さそう」「なんとなく気が合いそう」と思う相手に対して、信頼したり安心感を抱いたりします。

つまり、相手に合わせることが重要です。
相手の声のトーンや話すスピード、声の大きさ、動きなどを、相手に合わせて話してみましょう。

また、相手が使っている言葉は、そのまま使いましょう。
相手の言葉を勝手に言い換えたりしない、ということです。

例として、2つの会話をご覧ください。

【例1】
相手「冷たいコーヒーでも飲みたいですね」
自分「冷たいコーヒー、いいですね」

【例2】
相手「冷たいコーヒーでも飲みたいですね」
自分「アイスコーヒー、いいですね」

どちらの方が、お互いの心が通じている感じがするでしょうか?
この例では、「冷たいコーヒー」という前提が、自分と相手とでは異なる場合があります。
確かに、冷たいコーヒーのことを「アイスコーヒー」と言います。

しかし会話の中で、相手は「冷たいコーヒー」と表現したけれども、実は必ずしもコーヒーである必要はなくて、「冷たい飲み物が飲みたい」と言いたかっただけなのかもしれません。

だとすると、「冷たい」ことが重要だったのに、そこを「アイスコーヒー」と言い換えられてしまうと、相手と気持ちが通じあった感覚は、「冷たいコーヒー」よりも低くなってしまいます。

繰り返しになりますが、自分と相手とでは、認識や前提が異なります。
そのため、相手の使う言葉を尊重しましょう。

コミュニケーション能力は、日常にどう役立つのか?

ここでは、コミュニケーション能力が日常にどう役立つのか、コミュニケーションをとることのメリットについてご紹介します。

コミュニケーション能力とは、人を動かすチカラだとお伝えしました。
コミュニケーションは、仕事の成果が上がるだけではなく、日常にも大きな変化をもたらします。

  • 人間関係に自信が持てるようになります
  • 感情のコントロールができるようになります
  • 自分を責めることが減り、毎日が楽になります
  • 周りの人の相談に対応できるようになります
  • 苦手な相手と上手に付き合うことができます
  • 自分自身を安定させるテクニックが身につきます

コミュニケーションの対象は、大きくは2つに分かれます。
ひとつは、これまでご紹介してきた「他人とのコミュニケーション」。
そしてもうひとつは、「自分とのコミュニケーション(内部対話)」です。

自分とのコミュニケーションは、自分自身の中に「気づき」や「自己変化」を与えてくれます。
ぜひ、自分とのコミュニケーションも意識してみてください。

まとめ

外来語として入ってきたコミュニケーション(communication)は、日本にもともとあった、以心伝心の概念に似ています。

「コミュニケーション(communication)とは何なのか?」「コミュニケーションを円滑にする手段は?」「コミュニケーションをとることのメリット!」「コミュニケーションの上達のポイント」

などを今回のブログではお伝えさせていただきました。

最後にもうひとつだけ、大切なことをお伝えします。

私たちは、「他人」を変えることはできません。
変えることができるのは、「自分」だけです。
そして私たちは、「他人とのコミュニケーション方法」は変えることができます。

結果は相手に委ねることになりますが、信頼を得て共感してもらったり、情報を理解してもらったり、ときには問いを与えて相手を揺さぶったりと、相手にもっと考えてもらう、気づいてもらうきっかけを作ることができるのです。

社会に求められるコミュニケーションは時代とともに大きく変化します。
特に2020年から始まったコロナ禍によって、コミュニケーションの手段は多様化し、大きく変わりつつあります。

「周りと上手くいかないな」と、ストレスを感じているのであれば、まずは、周りの人とのコミュニケーションのやり方を変えてみてください。

ストレスを生じさせる要因の多くは「人間関係」です。
だからこそ、あらゆる人間関係を良好にし、どんな状況でも自分らしくいられるコミュニケーション能力を身につけることは、人生の「満足度」や「幸福感」を上げることに繋がります。

コミュニケーション能力を高めるのは、早ければ早いに越したことはありません。
今すぐ実践していきましょう。

ただ、コミュニケーション能力は、すぐに身につくものではありません。
日々の筋トレやジョギングといった身体作りと同じように、継続した実践によってスキルが身につき、徐々に日常の違いを実感できるものです。


文部科学省の定義するコミュニケーション能力。
「いろいろな価値観や背景をもつ人々による集団において、相互関係を深め、共感しながら、人間関係やチームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない問題について、対話をして情報を共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決する能力」


さまざまな価値観や背景を持つ人々との関わりは、豊かな経験になる反面、試練やストレスになることも多々あるでしょう。
それでも、社会を生き抜くことは、他人と関わり続けること。
豊かな人間関係、対人関係こそが、私たちの人生に深みをもたらしてくれるでしょう。

私たち日本コミュニケーショントレーナー協会は、内閣総理大臣認証NPO認定校として以下のことをお伝えしています。

  • 人生最後の日まで『笑顔』と『健康』で生きるコミュニケーション能力を提供します
  • 人生の意味、目的、使命を見つけるお手伝いをします
  • 卓越したコミュニケーションテクニックをお伝えします
  • ご自身の持っている価値観、認識や前提を見つける方法をお伝えします
  • コミュニケーションの実践の場を用意しています
  • 継続学習を前提としたコミュニケーション方法をお伝えします

コミュニケーションを学ぶ方法として、選択肢のひとつにしてください。

著者プロフィール 椎名規夫(公認心理師、NLPトレーナー)

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会 代表理事
経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長

1961年生まれ。茨城県取手市出身。

「変われなければ心理学ではない!」をスローガンに、心理の国家資格『公認心理師』の知識を活かして、日本で唯一、科学的根拠のある心理学をベースにしたコミュニケーションスキル(コーチング、カウンセリング、メンタリング、セラピー、コミュニケーション能力、コミュニケーション心理学)を提供。

エビデンスベースド(科学的根拠のある)心理学とコミュニケーション能力こそが社会人、ストレス社会、人生100年時代に役立つスキルと確信してトレーニングを実施中。

  • 総務省 「コミュニケーションの基礎に関する研修」
  • 全国6万社が加盟する厚生労働省の労働基準局所管特別民間法人『中央労働災害防止協会』にてコミュニケーション技術力研修担当10年以上
  • 労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当
  • 独立行政法人教職員支援機構にて全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング講座担当など
椎名規夫トレーナー

椎名規夫トレーナー

著書&DVD

  • 人を動かす力

    人を動かす力。著者:椎名 規夫。出版社:アスカ・エフ・プロダクツ

  • 自分とまわりを変える魔法のNLP実践トレーニング

    自分とまわりを変える魔法のNLP実践トレーニング。著者:椎名 規夫。出版社:アスカ・エフ・プロダクツ

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