【解説】夫婦のコミュニケーション|夫婦のコミュニケーションが崩壊する理由と解決策
投稿日:2023年7月24日 / 最終更新日:2025年2月5日
「将来が不安…」
「口喧嘩が増えたな…」
「最近、雰囲気が微妙…」
「分かってもらえない…」
「こんな人だと思わなかった…」
「知らなかった部分が見えるようになった…」
夫婦であれば、このようなことを誰もが感じることがあるでしょう。
そして、乗り越える方。距離を置く方。別々の道を歩む方。選択はそれぞれ異なります。
「夫婦関係調査2021(リクルートブライダル総研調べ)」によれば、夫婦関係に満足している割合は67.2%。
日本人の場合、夫婦仲が悪いわけではなさそうです。
反面、総務省の調べでは、2002年の離婚組数29万組のピークから下がったとはいえ、2020年は19万3千組が離婚しています。
※この記事は、結婚の継続を後押しする内容でも、離婚を勧める内容でもありません。夫婦間のコミュニケーションの大前提をお伝えします。
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夫婦のコミュニケーションが崩壊する理由|【コミュニケーションの原則】

多くの方が、コミュニケーションの原則を誤解しているようです。
コミュニケーションの原則はいくつかあります。
その一つが、コミュニケーションの主人公は「相手」だということです。
パートナーを大切にしようとしても、相手がそれを受け取ってくれなければ、コミュニケーションは失敗なのです。
一つの例として、パートナーに誕生日プレゼントを渡します。
それを、相手が喜んでくれれば成功。
もし、喜んでくれなければ、コミュニケーションとして失敗なのです。
「そんなことは分かってるよ!」
「でも、相手が喜ばない場合、プレゼントを贈った方の気持ちはどうなるのよ!」
このように、怒りや悲しみの感情が起こることもあるでしょう。
そして、これらの感情や考え方は、コミュニケーションの問題ではなく、一人ひとり、自分自身の「心」「感情」「考え方」の問題です。
それを心理の問題と言います。
そうです。
夫婦のコミュニケーションが成功しない理由の一つ!
それは、「コミュニケーション」と「心理」の問題を混同しているからなのです。
「コミュニケーション」の主人公は「相手」です。
「心理」の主人公は「自分自身」です。
「コミュニケーション」と「心理」では、その主人公が正反対なのです。
夫婦のコミュニケーションの秘訣。大枠が掴めましたね。
だからこそ、夫婦のコミュニケーションを円滑にするには、安定したご自身の心理状態が大前提なのです。
夫婦関係が崩壊するプロセス

仲の良かった夫婦にも、距離が生まれることがあります。
共働きが…
家事分担が…
子育ての価値観が…
義両親との関係が…
パワーカップルだから…
このように、生活のすれ違い、まわりとの人間関係、価値観の違いなどで、夫婦の関係に歪みが生まれます。
これは、どんな夫婦にも起きることでしょう。
夫婦仲を改善しようとする工夫が関係を壊してしまうとき
夫婦関係の危機を感じると、それを改善するための工夫がはじまります。
しかし、それが逆効果になることが多々あります。
例えば、相手の話に耳を傾ける「傾聴」です。
夫:「今度、僕が食事つくるよ」
妻:「ありがとう」
こんな感じです。
しかし、以下の場合に傾聴が出来ますか?
妻:「ねぇ! 私の方が家事の負担が多くない?」
夫:「そうだね!」
これが理想的です。
でも、このような「相手」を主人公にしたコミュニケーションが出来ますか?
「イラッ!」としてしまい、感情の統制が難しくないですか?
つい、「そんなことないよ!」と言ってしまいそうではありませんか?
こんな場合はどうでしょう。
妻:「私、あなたのご両親が苦手だな…」
夫:「教えてくれてありがとう。君が不快にならないように工夫するね…」
これも理想的です。
でも…。このような「相手」を主人公にしたコミュニケーションに慣れていますか?
湧きあがった感情を、相手にぶつけていませんか?
実は、夫婦間では「傾聴」が難しいことが多々あります。
「傾聴」は大切です。
しかし、近しい人間関係ほど、「傾聴」が困難になるのです。
夫婦。
親子。
子育て。
どちらかが我慢するようになってしまう「傾聴」は、良好な関係構築には役立たないのです。
そうです。夫婦のコミュニケーションにおいて大切なのは、一般的に言われているコミュニケーションのテクニックだけではなく、感情の統制です。
夫婦の危機のサイン
夫婦を5分観察するだけで、93%の確率で離婚を言い当てる、ワシントン大学心理学名誉教授 ジョン・ゴットマンの研究を紹介します。
ジョン・ゴットマンは夫婦関係の研究者として知られています。
彼は夫婦関係や結婚の研究に長年取り組み、特に夫婦の相互作用やコミュニケーションのパターンに焦点を当てました。
将来離婚する夫婦の会話には、決まって次のパターンが見られるそうです。
- 相手を軽蔑するような発言をする(軽蔑)
- 人格攻撃をする(非難)
- 責任のなすりつけ合いをする(自己弁護)
- 問題にきちんと向き合わない(逃避)
この4つが夫婦関係の崩壊するサインです。
夫婦のコミュニケーションを成功させるコツ

せっかく縁あって夫婦になったのですから、パートナーとは良好な関係を築いていきたいですね。
ここからは、夫婦のコミュニケーションを成功させるための前提をお伝えします。
相手の人生を応援する姿勢を持つ
あなたは、パートナーの「夢」をご存知ですか?
夫婦間のコミュニケーションには、相手の人生を応援する姿勢が大切です。
- パートナーが大切にしている価値観『○○○』を知っていますか?
- パートナーがあなたに期待している『◎◎◎』ことを知っていますか?
- パートナーに夢があるとしたら、それ『●●●』を知っていますか?
この3つを知っていれば、夫婦の間に溝ができても、お互いの関係を見直すチャンスになります。
なぜならば喧嘩をしたとき、関係が怪しくなったとき、
「あなたは『○○○』を大切にしていたね。もっと『○○○』を尊重するね」
「あなたは『◎◎◎』を期待していたね。もっと期待に沿えるようにするね」
「あなたの夢は『●●●』だったね。その夢を応援するよ」
このような言葉を伝えられるからです。
このような言葉を相手にかけることができたら、より良い関係が構築されるはずです。
もし、このような言葉をかけても関係が崩壊したままなら、ふたりの関係は危ういかもしれません。
自ら謝罪する姿勢・行動をする
夫婦間の行き違いは、何かが原因で起きます。
自分が原因だったり相手が原因だったり、その比率は50対50、1対99、99対1とさまざまでしょう。
どんな比率でも構いません。
夫婦のコミュニケーションでは、自らが先に謝罪する真摯さを持つことが重要です。
夫婦喧嘩したとき、あなたが先に謝罪できますか?
成熟した大人は、自ら頭を下げることが重要です。
心理を統制する能力を身につける
人の心は常に揺れ動きます。
私たちの心は、常に冷静でいることは不可能です。
その上で、自分の感情パターン、思考パターンを理解すること、そして、自己制御する能力が不可欠です。
感情が高ぶったときに、それを引きずらないテクニックも重要です。
負の感情を引きずらないトレーニングには、「瞑想の習慣」「マインドフルネス」「クンバハカ」など、先人が残してくれた極意があります。
ご自身に合う方法を身につけるといいでしょう。
相手と一緒に成長する
夫婦は共通の目標に向かって努力して、絆を深めることも大切です。
ときどき将来の共通の目標を話し合い、それに向かって歩むことが必要ではないでしょうか?
例えば、一緒に社会起業家としての活動を始めたり、年に一度の旅行に行ったり、ふたりで食事に行く。
素敵な目標ですね。
相手に寄り添う。
一緒に成長する。
そんな目標を夫婦でつくるのはいかがでしょう。
まとめ|夫婦のコミュニケーションの解決策

夫婦間のコミュニケーションについてお伝えしました。
大切なことなので繰り返します。
大切なパートナーの人生を応援する姿勢を持ちませんか?
- パートナーが大切にしている価値観を知っていますか?
- パートナーがあなたに期待していることを知っていますか?
- パートナーに夢があるとしたら、それを知っていますか?
夫婦のコミュニケーションは、絶対に成功する方法などはありません。
そして、残念な結果になることもあるでしょう。
それでも、一度は人生をともに歩む決断をしたパートナー。
その大切な存在とともに成長し、その存在を応援する。
そんなコミュニケーションが出来れば、100点満点ではないかもしれないけれど、心地よい夫婦の時間が生まれることでしょう。