【解説】ビジネスコミュニケーションとは?|その概要と成功させるコツ
投稿日:2024年11月11日 / 最終更新日:2024年11月11日
ビジネスコミュニケーションとは、職場でのやり取り全般を指します。
これは、社内の基本である「報連相」(報告・連絡・相談)に限らず、会議や商談、プレゼンテーション、指示出し、顧客対応など、さまざまなシーンでのコミュニケーションを含みます。
この記事では、「聞く力」「質問する力」「伝える力」「理解する力」を超えて、ビジネスコミュニケーションにおいて本当に必要なことをお伝えします。
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ビジネスコミュニケーションの前提
AIに「ビジネスコミュニケーションとは?」と問いかけたところ、結果は以下の通りでした。(2024年8月30日現在)
ビジネスコミュニケーションとは、ビジネスに関わる人全員とのコミュニケーションを指し、社内や社外を問わず行われます。 その手段には、対面や口頭による会話のほか、電話やメール、ビジネスチャット、ウェブ会議システムなどがあります。ビジネスコミュニケーションの目的は、物事に対する共通の認識を持ち、相手との信頼関係を築くことです。 そのためには、自分の意図を的確に伝えるだけでなく、相手の意図も的確に理解することが必要です。 ビジネスコミュニケーションにおいて求められるスキルには、次のようなものがあります。 ・話す力(論理的に伝える力) ・聞く力(相手の話に対する理解力) ・相手からの信頼を得るための質問力 ・相手からの信頼を得るための共感・相槌 ・相手からの信頼を得るための会話の背景を読み取る力 社内のメンバーと適切なコミュニケーションが取れないと、業務遂行に必要な情報を共有できず、業務が滞ったり、相手に不快感を抱かせたりして信頼関係が崩れてしまう可能性があります。 |
そして重要なのは、以下に示した【ビジネスコミュニケーションを成功させる大前提】です。
- コミュニケーションは双方向の意思の疎通ですが、上司・部下、顧客との関わり、ミーティングの場面で、先に自分の意思から伝えると成功が難しくなります。
- 報連相は、上司から部下にするのがマネジメントのルールです。しかし、部下から上司にするものだと誤解している方が多いようです。
- 報連相以外では、上から下へのコミュニケーションは上手くいきません。上司から先に意見を伝えると、部下は心理的安全性を守るため、自分の意見や意思を抑圧してしまうからです。
コミュニケーションの事例と効果的な「報連相」
コミュニケーションで重要なのは、【双方向の意思の疎通】です。
それは、ビジネスの場においても同様です。
2つの場面の会話をもとに、解説していきます。
コミュニケーションの事例
<ゲームに夢中な子どもと食事の準備ができた母親の会話>
母:「ご飯できたよ!」
子:「ウン、ウン」
母:「ご飯できたよ!」
子:「分かった!」
母:「ご飯、食べないの!?」
子:「いらねぇー…」
<仕事を依頼したい上司と仕事を早く終わりにして帰りたい部下の会話>
上司:「この仕事、お願いしていいかな?」
部下:「はい?」
上司:「やってほしい仕事があるんだ!」
部下:「はい?」
上司:「なんか、やりたくないの?他にまわすよ!」
部下:「はい!ありがとうございます」
このように、立場が上の者から先に意思を伝えると、下の者は我慢してしまい意思を伝えられなくなったり、意見を受けいれることが難しくなったりします。
コミュニケーションは、自分の意志から伝えると失敗します。
さて、どう伝えれば上手くいくのでしょう。
上手くいく可能性があるのは、【相手の意思を確認する】ことから始めることです。
<ゲームに夢中な子どもと食事の準備ができた母親の会話>
母:「ゲーム楽しい?」
子:「ウン!」
母:「楽しそうだけど、お母さん、お願いがあるんだ。ご飯できたよ。一緒に食べてくれるとうれしいな!」
子:「分かったよ…」
母:「ありがとう」
成功する保証はありません。
それでも、相手の意思確認から始めたことで、双方向の意思の疎通はできたはずです。
<仕事を依頼したい上司と仕事を早く終わりにして帰りたい部下の会話>
上司:「最近、仕事どう?」
部下:「今日は早く帰りたいので、ランチ、抜いてます…」
上司:「そりゃ、タイヘンだ!ところで、お願いしたい仕事があるんだけれど、話をしてもいいかな?」
部下:「はい。詳しく聞かせてください」
部下が早く帰れる保証はありません。
上司が仕事を依頼できる保証もありません。
それでも、相手の意思確認から始めたことで、双方向の意思の疎通はできたはずです。
このように、先に下の者の意思から確認すると、上の者の意思を受け取ってもらえるようになります。
ただし、上の者の思い通りに下の者が行動する約束はできません。
もちろん、指示・命令が必要なときもありますが、指示・命令は成功するコミュニケーションではありません。
例外もあります。
子どもと母親の場面で「子どもがお腹を空かしていて食事を待っているとき」や、上司と部下の場面で「部下に仕事がなくて時間を持て余しているとき」など、状況によっては、上の者から先に意思を伝えることが適切な場合もあります。
上から下が原則の「報連相」
報連相では、上から下へのコミュニケーションが重要です。
一般的に報連相は、部下から上司に対して行われるものと考えられがちです。
しかし、効果的にマネジメントをするなら、報連相は【上司から部下に行うべきもの】です。
ビジネスの現場では、一般的に下の者は上司の様子や意向をうかがっている傾向があります。
部下は上司に話しかけるタイミングを計っているので、積極的に自分の考えや意見を表明しづらいことがあるのです。
そのため、上司から積極的に報連相を実践し、部下に状況や方針を明確に伝えることが重要です。
上から下への報連相が効果的に行われると、部下は上司の考えや期待を理解しやすくなり、自分の役割や仕事に対する理解も深まります。
また、上司がオープンな態度を示すことで、部下も安心して報連相ができるようになるでしょう。
このように、組織内の双方向のコミュニケーションが促進されます。
報連相は下から上へではなく、組織全体のコミュニケーションを円滑にするための【双方向のプロセス】であるべきです。
上司は、自分の考えや情報を積極的に伝え、部下からのフィードバックを求める姿勢を持つことが、効果的な報連相の実践に繋がります。
営業の場面では、下から上が原則
営業活動は、顧客に価値を提供するための重要な行為です。
顧客は価値を求める存在であり、企業はその価値を提供する立場にあります。
この関係において、顧客が「下」の立場であり、企業が「上」の立場として見ることができます。
成功する営業活動は、常にお金を支払う顧客のニーズを深く理解することから始まります。
それは言わずと知れた、【顧客の声に耳を傾ける】ことです。
顧客のニーズや期待、課題をしっかりとヒアリングし、それに応じた提案・価値を提供することがビジネスコミュニケーションです。
ビジネスコミュニケーションに必要な3つの能力
ビジネスコミュニケーションに役立つ3つの能力をご紹介します。
これらの能力は、組織内のコミュニケーションをより良いものにするため非常に重要です。
言葉の奥にあるものを聞く力
言葉の奥にあるものを聞く力とは、相手の発言の背後にある「感情」や「意図」を理解する力です。
表面的な言葉の意味だけでなく、その背景にある本音や感情、考え方を察することで、より深いコミュニケーションが可能になります。
例えば、「仕事を依頼したい上司と仕事を早く終わりにして帰りたい部下の会話」の場面ではこの部分です。
上司:「この仕事、お願いしていいかな?」
部下:「はい?」
上司は、部下の「はい?」という言葉の背景を感じ取る能力が必要です。
ニーズ、ウォンツを問いかける力
相手が本当に必要としているもの(ニーズ)や、欲しいと感じているもの(ウォンツ)を引き出すための質問力です。
適切な質問を投げかけることで、相手の真の要求や期待を理解することができます。
先ほどの、部下の「はい?」という言葉の背景を感じ取り、何か仕事を引き受けられないニーズやウォンツがあることを感じ取る能力が必要です。
価値観、希望、動機を引き出す力
相手が大切にしている価値観や希望、そして行動の動機を明らかにする力です。
これにより、相手が何を重視し、どのような結果を望んでいるのかを深く理解することができます。
価値観は多様化しています。
仕事よりもプライベートを重視する者は、残業をしなければならない会社よりも、自分自身のプライベートな時間を尊重します。
その結果、離職になるかもしれません。
反対に、何よりも仕事の時間を大切にする者は、始業時間の2時間前に出社し、終電まで仕事をすることを悦びとするかもしれません。
一人ひとり、生きるスタイルが異なります。
ある程度、自由に仕事が選択できる時代だからこそ、相手の価値観、希望、動機を引き出す能力が求められています。
まとめ
ビジネスコミュニケーションの基本的スキルは、「聞く力」「質問する力」「伝える力」「理解する力」です。
しかし、それだけでは不十分です。
実際、それらの能力だけでは、ビジネスコミュニケーションは上手くいきません。
コミュニケーションは、相手が機械ではなく人間です。
スキルやテクニックだけでは、上手くいかないのです。
本当に必要なのは、その能力を活かす「真摯さ」です。
真摯に取り組む姿勢こそが、相手との信頼を築く土台なのです。
どんな状況でも、置かれた場所で咲くことで、誠意が伝わり、信頼が深まります。
この真摯さこそが、ビジネスコミュニケーションで成功をもたらす鍵となるのです。