『自分を責める』を改善するには?
投稿日:2021年11月2日 / 最終更新日:2024年9月5日
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「もっと出来たはずなのに……」
「こんなやり方だってあったのに……」
「私はダメだなぁ……」
このように自分を責めることを繰り返している方へ。
その性格の改善方法をお伝えします。
まず、以下のようなやり方では改善できません。
- 自分を承認する
- 自分を責めないようにする
- 過去のことをリセットする
なぜならば、自分を責めることが良い結果となったことも、これまでにたくさんあったからです。
「自分を責めることで、仕事の成果を上げ続けてきた!」
「慎重に行動することで、大きな失敗を避けられた!」
「過去の出来事から学ぶことで、より良い選択ができた!」
「自分に厳しいことで、まわりから評価された!」
『自分を責める』ことにも、いいことはたくさんあったはずです。
だから、『自分を責める』ことを止めなくてもいいのです。
それではどうすればいいのか?
『自分を責める』には目的がありました。
「より良い成果を上げる」「大きな失敗を避けられた」「より良い選択をする」「評価される」
『自分を責める』方法と違うやり方で、その目的が果たせればいいのです。
なぜ、自分を責めるのか?
全ては学習したことから
あなたは何か上手くいかないことがあったとき、自分を責めていませんか?
本当はできたはずなのに、上手くいかなかった。
このぐらいやったのだから評価されると思っていたのに、評価がされなかった。
頑張ったのにもかかわらず、望んだ結果にはならなかった。
ものごとが自分の思い通りに進まなかったときや、自分の期待が外れてしまったときに、
自分自身を責めるという感情が起こる場合があります。
これは、あなただけに起こりうるものではありません。
幼いときから誰もがこのような経験をして、学習していきます。
人は成長するに従い、外の世界に触れ、他人とかかわりあうことで社会のルールを学び、叱られる経験していきます。
例えば、赤ちゃんがクレヨンで絵を描くのが楽しくて、壁に絵を描いてしまい、母親に叱られたとしましょう。
最初は、何で自分が叱られたのかもわからず、
叱るときの声の大きさや向けられた感情に驚いてしまった、遊びを止められてしまって悲しかった、
そんな理由で泣いていたかもしれません。
でも、同じことを何度か繰り返すうちに、
「壁は絵を描いていい場所ではない」
「壁に描いた絵は綺麗に消さないとダメ」
「私が壁に絵を描いてしまったから、母親に叱られたのだ」
と学んでいきます。
私たちは、期待した通りにならなかった出来事を何度も経験し、
「こうなってしまった原因は、過去の自分の行動にあったのだ」と考えるようになるのです。
何かで失敗する=自分が悪い
何か期待外れなことが起きると、それを失敗したと思い、自分が悪いと思ってしまいます。
あなたが自分を責めてしまうのは、あなたが小さいときから経験した学習の結果です。
これは誰もが学習することですが、1つ1つの経験に対しての受け取り方には個人差があります。
また、ひどく叱られたり、何度も繰り返したり、周囲への影響が大きかった経験などは、
強く印象づけられてあなたに記憶されます。
強い印象が残っている出来事はそのときのこと思い出すと、
顔が赤くなったり、汗が出てきたり、叫びたくなったり、その感情を何度も味わうことができてしまいます。
あなたの心に絡みつくモヤモヤした感情は、期待から外れたことが起きた際に生み出される「怒り」や「悲しみ」です。
「取り戻せる可能性がある」と判断されれば、その機会を取り戻そうとして怒りが作られます。
「もう取り戻せない」と判断されれば、
失ったショックと、心の繋がりを保とうとする寂しさとが組み合わさって悲しみが生まれます。
このような感情を手放したくて、自分を責めるのを改善したいと思う人も多いでしょう。
残念ながら、以下のようなやり方では改善はできません。
- 自分を承認する
- 自分を責めないようにする
- 過去のことをリセットする
あなたにその感情があることを無視して、蓋をしてしまっても解決はできないのです。
そもそもなぜ、私たちは自分を責める感情を持つのでしょうか?
なぜ、私たちは自分を責めるような経験を続けてきているのでしょうか?
なぜなら、自分を責めることが、決して悪いことばかりではなく、私たちに必要な学習でもあるからなのです。
自分を責めることは、私たちに必要な学習でもある
自分を責めるメリット
自分を責めることには3つのメリットがあります。
- 責任を持つ
あなたが自分を責めるのは、あなたがその出来事に責任を持っていたからです。
「これは私がやるべきこと」という認識があって、成功させたいという気持ちがあったのではないでしょうか?
自分を責める場合、その出来事が「自分ごと」だからこそ、自分を責めることができます。
他人の失敗や、遠い場所で起こった事象などで、自分を責めることはしないはずです。
全く手が届かないものに対して、悔しいという気持ちは起こりません。
自分が関与していない出来事に対して、怒りや悲しい感情を持つことはあっても、自分を責めることはしません。
自分を責めることは、「私のチカラでこれを達成したい」という責任の表れです。
時に、自分を責めることで自分の行いを軌道修正し、自分の責任を全うすることに繋がります。
- 成長する
あなたは自分を責めることを通して、成長した記憶はありませんか?
過去を振り返り、失敗をバネにして「次こそは!」という気持ちが芽生えたことを思い出してみてください。
自分を責めるという経験は、次はこうすればよいのだという気づきを与え、あなたの成長を促します。
また、次は同じことはやらないようにと、あなたが危険を回避するために必要な学習でもあります。
自分を責めることは、「次はこれにトライしてみよう!」という新たな原動力にもなるのです。
- 評価される
自分を責める人は、自分に対して厳しい方です。
責任感が強く、規律やルールを守る真面目な性格だったりします。
だからこそ、最後までやり遂げようとします。
また、自分を責める人は、「自分にも何か問題があったのでは」と周囲にも気を配ることができる人でもあります。
自分を責めることができるあなたは、とても信頼できる人です。
たとえ、結果が失敗だったとしても、あなたはまわりから評価されることでしょう。
自分を責めるメリットこそ、「自分を責める目的」でもあります。
例えば、男の子がお手伝いしようとして、お皿をいっぱい重ねて運び、落として割ってしまったとしましょう。
男の子は、割れたお皿を目の前にして、自分がやったことを責めて、謝ってくることでしょう。
そんな男の子に対し、側にいた母親が、
「この片付けは大丈夫だから、もう何もしなくていいわよ」と言ったとしたら、男の子はどう感じるでしょうか?
いっぱいお皿を運べるところを見せたかった……
お手伝いをして褒めてもらいたかった……
男の子の中にあった、責任を全うしたい、成長を見せたい、評価されたいという目的は、行き場を失ってしまいます。
男の子が自分を責めたときの感情を、無視してはいけないのです。
自分に責任を持たない、成長を希望しない、評価されようとしない。
自分を責めることがないように生きることもできるかもしれません。
しかし、そのような生き方は、何かに挑戦することができなくなります。
いつしか世界が狭くなり、人生に対する満足感や充足感が大幅に低下していくことになります。
男の子が自分を責める気持ちを認めてあげて、
「怪我はなかった? 大丈夫。手伝ってくれてありがとう。次は少しずつ運んでみようね」
と母親が声を掛ければ、男の子は失敗を活かして、未来を見ることができます。
この例では母親(他の人)が声を掛けていますが、普段、問題が起こったとき、
あなたに真っ先に声を掛けることができるのは、あなた自身のはずです。
上手く行かなかったとしても、あなたの目的、その気持ちをきちんと受け止めてあげてください。
自分を過度に責めるデメリット
自分を責めることに対してメリットがあっても、過度に自分を責めてしまうと、バランスを崩します。
過度に自分を責めることは大きなストレスとなり、深刻な問題を引き起こしてしまいます。
- メンタルを壊す
私のせいだ。
自分の責任なのだから、他の人を巻き込みたくない。
まわりの人にがっかりされたくない。嫌われたくない。
自分を過度に責める人は、このような気持ちに陥りがちです。
頑張って、頑張って、我慢して、我慢して……
でも、報われなかった、何も改善しなかった。もうダメだ。
ふと、そんなふうに感じた瞬間に、張っていた気持ちが切れてしまうことがあります。
そして、今まで普通にできていたことが、できなくなってしまいます。
- 身体を壊す
過度に自分を責めてしまうことは、身体にも影響を及ぼします。
自分を過度に責めることで精神的に疲労し、パフォーマンスが落ちる中で
無理して頑張るという行動でフォローしようとしていたので、体力的にも疲弊してしまいます。
また、ストレスは自律神経を刺激し、脳を緊張させ、脳からの神経伝達物資の乱れを発生させます。
これにより、動悸や息切れ、めまい、手足の震え、吐き気などの症状が起こる場合があります。
- 心身症
「心身症」とは、心理的要因が病気の発症に大きく影響する、身体疾患の総称です。
その発症や経過に、ストレスが大きく影響しているといわれています。
代表的なものとして、過敏性腸症候群、十二指腸潰瘍、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、
片頭痛、円形脱毛症などが挙げられます。
日常生活や仕事、対人関係などの心理社会的ストレスに無頓着や無自覚な場合に発症・悪化することが多く、
一般的治療では改善困難な病気です。
自分を責め過ぎてしまう人は、大きくバランスを崩す前に今の状態を改善していく必要があります。
全てはあなたの心が決めている
自分を責めるメリットからもわかるように、あなたの悩みの裏側には、あなたが本当の望んでいることが隠されています。
あなたの悩みは、あなたの望みを叶えるチャンスでもあるのです。
自分を責めてしまうような問題が起こったとき、道は大きく2つに分かれます。
- 嫌な感情を味わって落ち込むのか
- 次の飛躍のための学びとして捉えるのか
どちらの道を選択するかは、そのときのあなたの心の状態が決めています。
あなたの気持ちにも波があると思います。
同じことを言われたとしても、ポジティブな気持ちのときは平気で受け止められたことも、
ネガティブな気持ちのときはひどく落ち込んでしまう、そんなこともあるでしょう。
ものごとをどう捉えるか?
大切なのは、あなたの心の状態なのです。
自分を責めるのを改善するには?
自分を良いところを見つけて最大に褒めよう
では、過度に自分を責めてしまう人は、どのようにすればよいのでしょうか?
自分を責めるのを改善するために必要なことは、ズバリ! 「自分を褒める」ことです。
自分を褒めることは、自分を責めるときに発生するネガティブな気持ちの受け止め方を変えてくれます。
人は、できたことよりも「できなかったこと」を強く記憶します。
これを「ツァイガルニク効果」といいます。
これは、私たちの脳の特徴によるものです。
私たちの脳は、生き物の本能として「生命の危機=危険」に対して、真っ先に反応します。
そのため、再び傷つくことを避けるために「できなかったこと」をしっかり記憶し、
困ったことにその記憶を握りしめて生きてしまいます。
そもそも、ネガティブに陥りやすい気持ちを変えるためには、できたことにフォーカスしていく必要があります。
できなかったことは、できたことに比べて約4倍も多く記憶されるそうです。
そのため、バランスを取るためにも、自分を責めた4倍は自分を褒めてみてください。
どんどん自分の良いところを見つけて、たくさん自分を褒めてあげてください。
これまで勉強してこないから難しい
いざ自分を褒めようとすると、褒める言葉が出てこない、という方もいると思います。
先ほど、私たちは経験したことから学習してきている、「全ては学習したことから」とお伝えしました。
そう、私たちは学習したことしか、できません。
子どもの頃を振り返ってみてください。
あなたは、どこかで自分を褒めることを学習してきたでしょうか?
残念ながら日本の学校教育では、自分を褒めることを教えていません。
日本の教育方針では、皆が同一水準に達することを求めるので、できないことをできるようにすることに注力されます。
そのため、自分のできたところよりも、できないことを意識するようになります。
欧米では、幼いときから「自分の良いところを褒める」習慣を教わります。
生徒一人ひとりの可能性を導き出す、良いところを伸ばすという教育がされているからです。
できないことを叱ったり注意したりすることよりも、それぞれの能力や才能を伸ばすことに重点を置いています。
日本人は、できたことよりできないこと、問題ばかりに目を向けて、自分やまわりを責めてしまいがちです。
問題に目を向けられるという点は、弱点を直して改善へと導く、日本人の強みの1つでもあるのですが、
そこばかりでは良い部分を見る視点は育ちません。
自分を褒めるレッスン1:自分の良いところを書き出してみよう!
まずは、「自分の良いところ」「長所」を書き出してみましょう。
いくつ書くことができるでしょうか?
自分だけで考えずに、友人や家族に尋ねてみるのもいいかもしれませんね。
次に、自分の「短所」だと思う部分も書き出してください。
書き出したら、今度はそれを肯定的な視点で言い換えてみましょう。
短所 | 肯定的な視点 | |
こだわりやすい | → | 感受性の強い |
断れない | → | 相手の立場を尊重する、寛大な |
無理して頑張ってしまう | → | 期待に応えようとする |
意見が言えず人に合わせてしまう | → | 協調性豊か、柔軟性がある |
まわりの反応が気になる | → | 心配りができる、まわりをよく見ている |
ものごとの枠組み(フレーム)を変えて、別の視点を持たせることを「リフレーミング」といいます。
別の視点でものごとを見てみると、
あなたが短所だと思うところは、実は「長所」でもあると気づくことができるでしょう。
自分を褒めるレッスン2:自分の良いところを見つける習慣を作ろう!
毎日、「自分にとって良かったこと」を振り返る習慣を始めてみてください。
今日は、ご自身にとってどんないいことがありましたか?
感謝したいことは何ですか?
あなたの日常で良かったこと、嬉しかったこと、感謝したことなどを、1日の終わりに3つあげてみてください。
特別なことである必要はありません。
- 空が青くて、気持ちよかった
- ランチがすごく美味しかった
- 落ち込んだことがあったけれど、友達が心配して連絡してきてくれた
あなたが好きなこと、大切にできることや感情、
どんなことに感謝ができて、どんな人に囲まれていて、どんな素敵な経験をしているのか。
「こんなことを考えられる私って、素敵だな」と、自分を褒めてあげてください。
そして、この1つ1つの出来事から、あなたがどんな人なのかが見えてくることでしょう。
あなたの良いところのリストを増やしてあげてください。
あなたの良いところを、たくさん褒めてあげてください。
日々、肯定的な振り返りをすることによって、良いところを見つける習慣化がされ、
あなたの思考パターンや心に変化が見えてくるはずです。
喜びに意識を向けよう!
どんな未来を選択するかは、あなたの心が決めています。
自分を責めてしまうような問題が起こったとき、心は一時的に、大きく揺れ動くかもしれません。
それでも、日々、あなたの心が幸せを感じているのであれば、
その出来事を「学び」として、受け止めることができることでしょう。
楽しい、嬉しい、幸せ、と感じる自分の感情は、自分で作り出すしかありません。
いつでも、いい気分な自分を作るための準備が、「自分を褒めること」なのです。
自分を褒めることは、喜びに目を向けることです。
あなたはこれから先、どんな世界を見ていたいですか?
自分を褒める練習をして、素敵な未来に目を向けていきましょう。